「スケッチ」からはじまるモノ造り|「建築雑誌」掲載の対談から

建築雑誌2018年6月号

建築に携わる関係者向けの「建築雑誌(日本建築学会刊)」という業界誌があります。
プロフェッショナル向けに刊行されている専門誌なのですが、2018年6月号の特集用に開催された座談会に参加させていただきました。

当日のテーマは、デジタル技術を駆使した「設計と施工のあり方」。
大量のデータを高速処理することができるデジタル時代に対するヒラミヤの考え方を述べさせていただくと共に、同席した著名な方々の意見を伺ってきました。

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デジタル時代における「職人」とは?

私たちヒラミヤが、「イグアナアイ青山」の内装に代表されるような内装の施工ができるようになった背景には、間違いなく「デジタル技術の導入」があります。
我々のように現場に立つ職人たちは、中々同業者の皆さんとお話をする機会がないのですが、「建築雑誌」にお声がけいただいて、デジタルと共に施工を行う職人の座談会にお邪魔してきました。
「デジタル技術を導入した切っ掛けについて」について対話を重ねていく中で、色々と気づかせていただいた事がありました。

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対談から見えてきた本質

当日は、それぞれの分野で活躍されている錚錚たる方々が勢揃い。
そんな中で、対談でお話しさせていただいた内容です。

そもそも、ヒラミヤは「板金屋」です。『いただいた図面どおりに品物を納める』事が仕事であり、今も昔も変わらない立ち位置である事は間違いありません。
そして、デジタル技術の導入によって、設計自体にも我々が関わる事が出来るようになってきました。

イグアナアイ インテリア

きっかけは、「イグアナアイ青山」の内装からです。
アルゴリズムを駆使したインテリアは、設計者のフリースケッチが元となっています。
いわば『イメージ』を元に、店舗スペースのサイズに合わせて、『ライノセラス』というソフトウェアで設計図をおこしていくのです。
ライノセラスを使って設計図を作ってくれたのは、ヒラミヤのメンバーではなく外部のプログラマーです。
完成した図面を元に、パーツを作ってくみ上げていくのが我々ヒラミヤの役割でした。

一枚一枚計上の違う三角形のプレートを、レーザーカッターで切り出しては曲げていく。そんな作業を、990枚のプレートに施す仕事です。
もちろん、いかに精密な設計図が用意されていたとしても、最終的には修正が不可欠です。職人が判断しながら、手作業で行うからこそ完成することができるのだと思います。

「イメージ」から設計、そして具現化まで

いかにデジタル技術が導入されようとも、組みあげる職人の技術がなければ、完成させることは出来ない。
……以上のように、私の経験からくる実感をお話させていただいたのですが、私自身も、対談の中で気づかせていただいたポイントがありました。

それは「設計者から手渡されたのが『スケッチ』だった」という点です。

かつて施工図は、設計者が書くというのが当たり前でした。
二次元の施工図や設計図を元に、いかに立体化するか? というのが、我々の仕事だったのです。
ですが、「イグアナアイ青山」のように、「イメージ」を三次元曲面として具現化していく事が出来るようになってきているのは、新時代の到来だといえるでしょう。

原案者の方が描いた手書きのスケッチを、プログラマーが図面化してくれる。そんなプロセスを繰り返しながら、実現可能な三次元モデルを製作する。
それは、ライノセラスというソフトウェアと、それを操るプログラマーによるデジタル技術の到来がなせる技。

そして、その根源に不可欠なのは、依頼主や原案者、そしてプログラマーや現場の職人たちとの、親密なコミュニケーションなのです。
お互いを理解すべく、最善をめざして専門家同士の意見をぶつけ合う。
いかにデジタル時代といえども、「対話」というプロセスは、必ず必要となってくると思います。

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デジタル時代だからこそ「コミュニケーション」を

いただいた設計図からだけではなく、「イメージ」やアイディアを元に我々自身が設計し、製造はもちろん、時には施工まで請け負う。
まさにワンストップ・サービスの理想的な姿は、ヒラミヤが考えるデジタル時代の職人像。

「そんな時代だからこそ、それぞれの立場での十分なコミュニケーションを怠らない事が大事なのではないか?」そんな事を、今一度確認することができた対談だったと思います。

建築雑誌 2018年6月号 公式サイト